2010年12月25日
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下高井戸2丁目の屋敷神はなぜ見落とされたのか

Written By: 川俣 晶連絡先

 少しこの問題は追及してみようと思いました。

 なぜかといえば、この場所でこれだけで明快に見えて見落とすことはほとんど考えられないからです。

一般論 §

 一般論として、ある地域に屋敷神がないことの証明はほぼ絶望的に難しいと思います。屋敷神は移動できないという制約があるため、表通りからすぐ見える場所にある場合もあれば、よく見えない奥深くにあることもあります。樹木等に覆われている場合もあり、航空写真でも容易に確認できません。だから、「1つでもある」という証明は1つでも発見した時点で成立しますが、無いという証明はほとんどできません。また用語が倒錯しているため、聞き取り調査で「無い」と言っていても、用語を変えると「ある」と答えが変わるケースもあります。

 だから、「XXには屋敷神がないことを証明せよ」という問いかけの結末は「ここにあるから設問が間違っている」という結末しかあり得ません。

あらためて現地を見る §

 現地を見て分かったことは以下の通りです。

  • 迷彩色であり見えにくい (前回指摘したこと)
  • 北はマンション、南は塀で、実はよく見える範囲が狭い
  • 手前は車庫であり、そこに車が入っているとほぼ大半が隠れる
  • 車が入っている場合、はっきり見える角度の範囲はかなり小さい

 つまり、おそらく「車が入っていない状態」でそこを通りかかったことがほとんど無いのだと思います。しかも、首をわざわざ90度横に向けながら歩くことは滅多にありません。

 更に以下のようなことも分かりました。

  • Google Mapsの航空写真では植物が多く、僅かに見える範囲も覆われていた可能性が高い

 ですから、実際にほとんど見えなかった可能性が高いと思います。以下の条件が偶然にも重なり合ってよく見える状況が生じたのだと思います。

  • 車庫に車がいない
  • 隣の敷地が更地
  • 植物が大幅に整理された

感想 §

 まさにここですね。

 屋敷神は、偶然の要素で思いがけないところで目撃可能にできる可能性があります。

 そこが面白いところであり、怖いところでもありますね。

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